環境対策のためのバイオプラスチック最前線
~基礎・環境問題と対策・最新技術について~
海洋プラスチック汚染問題,新規バイオプラスチック素材群の基礎・最新技術・
市場開発最前線,次世代新規バイオプラ素材群,製品・用途開発の現状と課題
について基礎から応用まで詳しく解説する特別セミナー!!
- 講師
望月 政嗣 先生 工学博士 高分子学会フェロー (元)京都工芸繊維大学特任教授 (元)ユニチカ(株)
- 日時
- 会場
- 受講料
- (消費税等込み)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
- テキスト
受講概要
受講対象 ・バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する技術者 自動車分野、電気、電子分野、スポーツ分野 など ・バイオプラスチック・ポリ乳酸に関連する分野の マーケティング担当者、事業企画担当者、経営者など 事前準備 特になし 習得知識 1)海洋プラスチック汚染問題の現状と正しい理解 2)地球環境保全と資源循環型社会に向けての法規制・業界動向 3)バイオベース・モノマーや化学品の最新動向と技術的課題 4)新規バイオプラスチックの基本特性と最新技術・製品・市場開発動向 講師の言葉 石油由来の非生分解性プラスチックが本格的に使用され始めて60有余年、その生産量は開発途上国を含めて 年々増大し、今やその廃棄物物処理能力は限界に達する一方、地球温暖化や自然生態系を破壊する海洋プラス チック汚染問題などの深刻な地球環境・資源・廃棄物問題が顕在化している。 本講ではプラスチック廃棄物問題の根源的な解決を踏まえた持続可能な資源循環型社会の構築を目指すため、 先ず海洋プラスチック汚染問題の現状と正しい理解を出発点に、生分解性プラスチックを含む新規バイオプラス チック素材群の基礎と最新技術・市場開発最前線を踏査する中で、次世代を担う真のグリーン・イノベーション に値する可能性を秘めた注目の新規バイオプラ素材群を中心に論及する。産学両分野で30年間有余、ポリ乳酸を 中心とするバイオプラスチックの基礎研究から技術・事業開発までの実績をに裏付けられた内容を紹介する。
プログラム
1.地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
-海洋プラスチック汚染問題の正しい理解
1.1 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
1)海洋プラスチック汚染の実態と生分解性プラスチックの役割
・海洋プラ濃度の経年変化(累積増加)曲線
・海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的(グローバルな)視点
・海洋に流入する流木・草本類(リグノセルロース)、マイクロチップは太古の昔より存在した!?
・マクドさん、スタバさん、紙製ストローもマイクロチップのかたまりです!?
・海洋自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度、ポジティブ・コントロールはリグニン?
2)地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
3)自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
・目先のPETボトルのリサイクルより地球的規模での物質循環に目を向けよ!
1.2 バイオプラスチックの識別表示制度と環境負荷低減効果
1)グリーンプラとバイオマスプラ…日本バイオプラスチック協会識別表示制度
2) カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
1.3 持続的な資源循環型社会の建設のために
1) 欧米グリーンガイド指針
2) 食品残渣や食品容器・包装材の再資源化(バイオリサイクル)…
欧米や北海道富良野市近隣5市町村(10万人都市)における公的堆肥化施設
3) プラスチックのCompostable(堆肥化可能)認証基準…EN13432 他
4) 使用環境下での製品寿命(奉仕期間)の確保と分解速度のバランス
・生分解速度の速いものはゴミの拡大再生産!
1.4 世界の法規制と業界動向
1) 世界の法規制動向
・欧州ではごみ袋やレジ袋は生分解性が主流、仏は2020年に使い捨てプラ器具の
50%を生分解性に切り替える法規制を制定!
2) 業界動向…世界ラーメンサミット「大阪宣言」:ラーメン容器を生分解性に!
2.バイオベース・プラットホームケミカルとバイオリファイナリー最前線
-新たな地平を切り拓くバイオリファイナリー・フロンティア
1-1. バイオエタノール
1) デンプン(トウモロコシ)や廃糖蜜(サトウキビ)から
2) リグノセルロース(麦や稲糖の茎、暖竹、草)から…第二世代バイオエタノール
1-2. バイオベース・モノマー又は中間体
C2…エチレングリコール(EG)、C3…グリセリン,乳酸,1.3-プロパンジオール(PDO),
3-ヒドロキシプロピオン酸(3-HP),C4…コハク酸,1,4-ブタンジオール(BDO),
γ-アミノ酪酸(GABA),C6…ソルビトール,イソソルバイド,フランジカルボン酸(FDCA),
C8…p-キシレン(PX)、C10…セバシン酸、 C18…リシノール酸
・北海道大学が従来法の限界を突破する画期的な高効率FDCA新規化学合成法を開発
3.バイオプラスチックの最新動向
-自然淘汰の海“ダーウィンの海”を泳ぎ切る本命候補は?
3-1. バイオポリエチレン(bio-PE)
3-2. バイオポリエステル(bio-PES)
1) 生分解性バイオポリエステル…生分解機構(酵素分解型と非酵素分解型)
①ポリ乳酸(PLA)
・生分解性(堆肥化可能なバイオリサイクル材)と長期使用耐久性(構造材料)の
両面展開が可能な唯一のバイオプラスチック
・第二世代ポリ乳酸…高L組成ポリ乳酸(High %L PLA)、%D<0.5
・高性能
・高機能化技術の進展…既に、石油系汎用プラスチックと同等以上!
② ポリブチレンアジペート・テレフタレート(PBAT)
③ ポリブチレンサクシネート(PBS, PBSA)
④ 微生物産生ポリエステル(PHBV, PHBH)
・過去40年間、世界中の多くの企業が参入と撤退を繰り返し、未だ本格的に工業化されない核心的理由とは?
⑤ その他(PGA, PEST, デンプン系)
2) 非生分解性バイオポリエステル
①バイオポリエチレンテレフタレート(bio-PET)
・従来のイソブタノール法(Gevo)に代わるVirentのセルロース由来が主流に?
②ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)
③ポリエチレンフラノエート(PEF)
・化学構造…植物由来指環式ジールのフランジカルボン酸(FDCA)から成るバイオポリエステル
・基本特性…ガスバリア性(PET対比で酸素6倍、二酸化炭素3倍、水蒸気2倍)、
耐熱性(括弧内PET)…Tg/Tm(℃): 86/235(74/265)、熱変形温度HDT: 76(64)
3-3. バイオポリアミド(bio-PA)
・ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)の熱分解による化学変換
・ヒマシ油系バイオポリアミド…PA11, PA610,PAXD10, PA10T,その他
1)ポリアミド11…最も歴史の古い古典的なバイオポリアミド
2) ポリアミド10T
・化学構造…ひまし油由来1,10デカンジアミンとテレフタル酸の重合体
・基本特性…超高耐熱性…Tg/Tm(℃): 160/314, DTUL(1.8MPa)>300℃、低吸水率 耐薬品性、耐摩耗性、
電気特性に優れた次世代スーパーエンプラ
3) ポリアミド4…ポリアミドの中で唯一の生分解性プラスチック
3-4. バイオポリカーボネート(bio-PC)
・化学構造…植物由来複素環式ジオールのイソソルバイドから成るバイオポリカーボネート
・基本特性…光学特性、表面硬度、耐候性・耐光性、耐衝撃性や耐薬品性に優れた新規エンジニアリング・プラスチック
3-5. バイオポリウレタン(bio-PU)
1) ヒマシ油系ポリエステルポリオールを用いたbio-PU
2) 1,3-プロパンジオール系ポリエーテルポリオールを用いたbio-PU
4.質疑応答