
現場で直面する軸受の問題に対応するための
軸受の基礎、なかんずくころがり軸受の信頼性向上と長寿命化
軸受の基礎、疲れ寿命、潤滑法、使用上のポイント、各種損傷等、ころがり軸受の信頼性向上について解説する特別セミナー!!
- 講師
海外軸受技術研究グループ 吉武 立雄 先生
光洋精工(現ジェイテクト)にて海外軸受メーカーとの技術提携などに従事、現在は執筆活動に専念。
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:48,600円 同時複数人数申込みの場合 1名:43,200円
- テキスト
受講概要
予備知識
軸受実務に多少とも関わったことがあれば、受講にあたっての特別な予備知識は不要である。
習得知識
ころがり軸受に関して現場で直面するさまざまな問題に対処することが可能になる。 1) すべり軸受ところがり軸受の基礎 2) 軸受の負荷能力と疲れ寿命 3) 潤滑材と潤滑法と密封 4) 使用上のポイント 5) 軸受の損傷
講師の言葉
機械の回転部分に使用される軸受は産業の米ともいわれ、もっとも基本的な機械要素である。軸受はすべり縛受と ころがり軸受に大別されるが、潤滑という観点から両者を総合的に把握すべきである。軸受内部の接触面を潤滑油膜に よって分離することが、両者に共通するバイタルな問題であるからである。 したがって、ころがり軸受に対しても、このような視点からのアプローチが必要になる。潤滑剤の汚染、硬い粒子による 転動面の摩耗、それによるくぼみとクラックの発生、局部的な応力集中による損傷などがクローズアップされてきた。 最近では水素侵入による破壊も注目されている。現在の軸受の総合カタログはエンジニアのバイブルであるが、 このような最新の知識を身につけなければ使いこなせない。
プログラム
1. 軸受の歴史的成り立ち
ドアソケット軸受は人類が生みだした最初の軸受 ピラミッド建設のなぞ アッシリアの巨像運搬のなぞ 日本における巨石の運搬 ツタンカーメンの愛車のハブはなめらかに回る ケルト人の4輪馬車のなぞ 古代ギリシア人の軸受の独創性 古代ローマ人は機械工学の天才 レオナルドの世界最初の保持器付き玉軸受 中世の風車は風力発電装置につながる 伊能忠敬の水晶軸受 世界最初、直動玉軸受による巨石の運搬 ころがり軸受の実用化は産業革命とともに 軸受の大量生産時代の幕開け シェフラーグループの成り立ち 馬車の車軸用軸受から始まったテイムケン 軸のたわみに耐える軸受から始まったSKF 日本の軸受各社の成立
2. 軸受の基本的な仕組み
軸を支え、なめらかに回転させる軸受 軸受は摩擦軽減のために使われる 再生可能エネルギーと軸受
3. すべり軸受ところがり軸受
現在のすべり軸受 潤滑はすべり軸受の寿命を左右する シュトリベック線図の意味 すべり軸受理論の理論的裏づけと展開 現在のころがり軸受 ヘルツの弾性接触理論 ころがり軸受はハイブリッド軸受 すべり軸受ところがり軸受の比較
4. いろいろなころがり軸受
ころがり軸受の特徴 ころ軸受の特徴 ころ軸受のミスアライメント ラジアル玉軸受 ラジアルころ軸受 スラスト玉軸受 スラストころ軸受 旋回座軸受 ころがり軸受ユニット
5. 材料、精度、すきま、与圧、寸法と呼び番号
軸受鋼の清浄度に依存する疲れ寿命 軌道輪と転動体の材料と熱処理 軸受を実際に使用する場合のポイント 軸受の主要寸法と呼び番号
6. 軸受の負荷能力と疲れ寿命
軸受の運転能力を示す重要指標 疲れ寿命が軸受理論の基礎になる 内部起点はくりと表面起点はくり 水素の侵入とクラックの伝播
7. 潤滑剤と潤滑法・密封装置
潤滑の原理 弾性流体潤滑(EHL)理論の登場 グリース潤滑 油潤滑 軸受の死命を制する密封装置
8. 実際に使用する場合のポイント
軸受の配列、はめあい 振動と音響(騒音) 許容回転数 取り付けと取り外し
9. 軸受のさまざまな損傷
軸受の損傷原因 内部起点疲れ損傷 表面起点疲れ損傷 摩耗と腐食 かじりとスメアリング(微小溶着) 軌道面の局部的なくぼみ 焼き付き 取り付けミスによる損傷
補遺
第2次世界大戦秘話、ドイツの戦力のみなもと軸受プラント群を爆撃せよ 境界潤滑状態で行われたアモントンの摩擦の実験 すべり軸受を使ったクーロンの摩擦の実験 太平洋戦争、いざ決戦で飛べない飛行機、軸受の不具合が原因 メートル系軸受とインチ系軸受のちがいとは ころがり軸受の基礎理論を築いたスウェーデン3人男 本田宗一郎さんは針状ころ軸受が大好き トライボロジーの「トライボ」の江戸時代の訳語とは
講師紹介
東京大学社会科学研究科博士課程中退。 光洋精工(現ジエイテクト)入社。海外軸受メーカーとの技術提携などに従事。 現在は執筆活動に専念。 訳書にクーロン「簡単な諸機械の理論」工業調査会(1996), エッシュマン、ブレンドラインほか「ころがり軸受実用ハンドブック」工業調査会(1996), 編訳書および著書に「トライボロジーの世紀」工業調査会(2000)、「現代軸受の誕生」新樹社(2003)、 「絵とき「軸受」基礎のきそ」日刊工業新聞社(2006),「トコトンやさしい軸受の本」日刊工業新聞社(2014)ほかがある。
工作機械のトライボロジー研究会メンバー。