油脂物性を理解し実務で役立てるための
油脂の結晶化における制御と安定化技術
結晶化に必要な油脂の分子レベルの構造や、結晶化制御に必要な結晶成長などのミクロおよび熱力学的な知見から、
応用例までわかりやすく解説する特別セミナー!!
- 講師
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広島大学大学院生物圏科学研究科 教授 上野 聡 先生
- 日時
- 会場
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- 受講料
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1名:47,250円 同時複数人数申込みの場合 1名:42,000円
- テキスト
受講概要
予備知識
解説で用いられる以下の専門用語:水素結合・ファンデルワールス力などの分子間相互作用・飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸
習得知識
油脂の物性に関する基礎知識、結晶成長に関する基礎
講師の言葉
「油脂の結晶化における制御と安定化技術」に必要な基礎知識を紹介する。ここでは、粘弾性など食品工学で扱う内容は省き、 結晶化に必要な油脂の分子レベルの構造や結晶化制御に必要な結晶成長などのミクロな知見および熱力学的な知見に 重点を絞って解説する。その後、応用的な事例について、チョコレート(固体脂の代表例)とエマルションを事例に解説を行う。 詳細は目次の通り。 食品油脂の結晶化技術に興味を持っている方、これから取り組もうと考えている方、あるいは長年取り扱っているが 今一度基礎から学びたい方に最適です。
プログラム
1.はじめに
1竏驤1.食品における物理化学の重要性 1竏驤2.油脂製品の物理状態と物性 1竏驤3.油脂の結晶化と製品物性
2.油脂の物理化学の基礎
2竏驤1.油脂とは? 2竏驤2.油脂の多形と結晶構造 2-2-1. 多形とは? 2-2-2. 多形の同定法 2-2-3. 典型的な三つの多形の特徴と分子構造 2-2-3-a. 分子鎖傾斜 2-2-3-b. 鎖長構造 2-2-3-c. 副格子構造 2-2-3-d. 立体配座(コンフォメーション) 2-3.結晶多形とX線回折法 2-4.構造解析の例 2-4-1. CCC 2-4-2. PP2, PPM 2-4-3. CLC 2-4-4. POPとSOS (未確認?) 2竏驤5.さまざまな結晶多形 -SOSを例として- 2竏驤6.油脂の熱力学的安定性 2-6-1. 互変形的安定性 2-6-2. 単変形的安定性 2竏驤7.油脂混合系の相挙動 2-7-1. 混晶 2-7-2. 共晶 2-7-3. 分子間化合物形成 2-7-4. 相挙動の例 2-7-5. 共晶と分子間化合物形成を決めるファクター
3.油脂結晶化の基礎
3竏驤1.結晶化の基礎 3-1-1.結晶化過程:核形成と成長 3-1-2.核形成 3-1-3. 乳化剤の役割 3-1-4.結晶成長 3-1-5.結晶のモルフォロジー 3-1-6.熱力学的要因 3竏驤2.油脂の相転移
4.さまざまな状態の油脂物性と安定性
4竏驤1.液体 -融液構造の有無?- 4竏驤2.固体 -チョコレートを例として- 4-2-1.なぜチョコレートにココアバターが用いられるのか? 4-2-2.ココアバターの結晶多形現象 4-2-3.ファットブルームの正体 4-2-4.油脂移行によるファットブルーム現象 4-2-5.チョコレートの製造過程 4-2-6.テンパリングと冷却・固化のモデル 4-2-7.テンパリング以外の多形制御法 4-2-8.高機能化のためのチョコレートの物性改質 4竏驤3.エマルション a. O/Wエマルション中の油相の結晶化機構 4-3-a-1.核形成速度の低下 4-3-a-2.界面不均一核形成 4-3-a-3.結晶化と部分合一・不安定化 4-3-a-4.乳化剤(+添加剤)による界面での結晶化促進効果 4-3-a-5.結晶化したエマルションの安定化に及ぼす乳化剤の添加効果 b. W/Oエマルション中の油相の結晶化機構 4-3-b-1.油脂結晶ネットワークの形成機構 4-3-b-2.乳化剤の添加効果 4-3-b-3.ファットスプレッドにおける粗大結晶形成機構の解明
講師紹介
略歴 1992年 広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程修了(博士(学術) 同年 広島大学 講師(生物生産学部) 1997年 広島大学助教授(生物生産学部) 2000年および2003年 シェフィールド大学(英国)客員研究員 2007年 広島大学准教授(大学院生物圏科学研究科) 2010年 広島大学教授(大学院生物圏科学研究科) 現在に至る 所属学会・協会および役職・活動状況 日本結晶成長学会 理事・幹事(2009~) 日本物理学会・日本放射光学会・日本油化学会・日本農芸化学会 アメリカ油化学会