
分析値の信頼性を確保するための
HPLC及び分光分析を中心とする分析法バリデーションの基礎
~実用的な設定値の許容範囲の目安、信頼性の検証方法、同時的バリデーション方法~
分析法バリデーションの基礎,HPLC分析のノウハウ,分光分析のポイントなどについて解説する特別セミナー!!
- 講師
スペクトル解析支援センター 特級検査分析士 薬学博士 長谷川 秀夫先生
日本電子(株)にて応用研究,明治乳業(株)にて医薬品研究室長,
試験分析センター長,応用技術研究部長等を歴任後,現職
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:47,250円 同時複数人数申込みの場合 1名:42,000円
- テキスト
受講概要
予備知識
レベルを問わずHPLC分析の経験
習得知識
分析法バリデーションの基礎 1)実用的な許容範囲の目安 2)信頼性の検証方法 3)同時的バリデーション方法 4)HPLC分析のノウハウ 5)分光分析のノウハウ
講師の言葉
近年、発生した問題やその対応の妥当性について、その論拠となったデータに基づいて他の人が納得できるように 説明する、いわゆる説明責任:Accountabilityが求められている。 分析値に対する説明責任を果たす上で根拠となるのがこの「分析法バリデーション」に相当する。 分析によって得られた計測値は、目的を持ったデータであるから商品設計、研究・開発、品質管理などに使用される。 分析機器は、技術の開発・進展に伴い測定値がデジタル化され、さらに装置内部がブラックボックス化されてきた。 そして高感度検出が可能となり、試料を入れれば何らかの測定値が得られるようになってきた。 その測定値は、 ある時は法律・規制の対象にもなり、また国際問題にも発展しかねない。 さらに計測された値は、数値として デジタル化され、前提条件、有効数字、誤差・許容誤差を伴うことなく歩きだし、そしてやがて独り走り始める。 本講座では、機器分析の基盤となっている分離分析法として汎用されるHPLC及びその検出器でもある 分光分析法(紫外・可視吸光度法、蛍光分析法)の基本となる原理・現象を図解により解説する。 その上で、 実例に基づいたHPLC分析のノウハウ;事例に基づく測定のポイント、トラブルシューティング Q&Aを含む測定の knowhowを習得し、「分析法ハリデーション」に反映させることにより、分析値の信頼性を確保するための基礎から 応用に関する分析技術・実践講座です。 講師は、特級検査分析士の資格を有し、食品メーカで五訂日本食品標準成分表基礎データの作成、天然物を 含む多成分系の経腸栄養剤4品目及び新薬1品目の医薬品製造承認申請、試験方法の変更申請、栄養食品等の 開発に続くその品質管理の実務を担当し、また過去には分析機器メーカに在籍していた。 本セミナーは、その実務経験に基づく技術・研究者(医薬・食品・化粧品・化学関連)及び試験・検査要員向け講座です。
プログラム
1. 信頼性ある定量値を得るために;これだけは知っておきたいHPLCの基礎知識
( 原理・現象を具体的な事例により図解で解説 ) HPLCカラム内で起こっている分離現象(液クロが“生き物”に例えられるわけ)
2. 信頼性の検証;分析法バリデーション (事例;実用的許容範囲の目安となる設定値)
1) 同定及び選択性・特異性の確認 2) 感度・検出限界 3) 定量限界 4) 検量線の実用範囲 5) 検量線の直線性 6) 精確さ;真度/精度 7) 堅牢性(頑健性) 8) 回収率
3. 再現性ある定量値を得るための分析法バリデーション(科学的根拠・妥当性の確認)
3.1. 分析法バリデーションの種類・目的(同時的バリデーションの具体例) 3.2. 信頼性ある測定値を得るためには、何を確認すればいいのか?具体的な分析方法 検体を具体的にどのように扱うか?「設定した測定条件」の妥当性を検証する方法 3.2.1. 医薬品製剤など構成成分が明確になっている検体 3.2.2. 食品、生体成分など構成成分が明確になっていない検体 3.2.3. 新規成分分析に対する分析法の設定
4. 測定所要時間の短縮と定量精度の向上を主とした定量法、同時的バリデーション及び定量値の評価
( 事例集;検出器の選択と測定条件の設定)
5. HPLC分析のノウハウ;事例に基づく測定のポイント、トラブルシューティング Q&A
5.1. 標準溶液と試料溶液とのピーク波形が異なった 標準溶液及び試料溶液を調製する溶媒の成分・組成が不適当 5.2. カラムの製造ロットごとに、あるいは測定条件で微妙にカラム特性が異なる。 カラム充填剤の製造バッチ ・充填剤のパッキングのロットの差 5.3 .移動相溶液中の溶存酸素の影響 紫外部領域の酸素に基づくピーク信号、蛍光強度への影響 5.4. 緩衝溶液の移動相で再現性が得られなかった 測定対象成分の電離指数(pK)に対して移動相のpHの設定が不適当であった事例
6. これだけは知っておきたい事例に基づく分光分析のポイント
6.1. 吸光光度法の基礎知識 (事例;吸光度0.2~0.7の範囲で測定しなければならない理由) 6.2. 蛍光光度法の基礎知識 (事例;蛍光強度は、溶媒の種類、濃度などの影響を受ける) 6.3. 分光器の光源ランプ及び分光セル動作原理及びその取扱・管理 (事例;重水素ランプは、自らの紫外線によりランプの透過率が低下する。)
7. 測定用試料調製及び移動相溶液調整における基礎知識
1) ガラス電極pH計の原理及びpH標準液の管理 (事例;pH標準液の保存性) 2) 計測機器及び物理・化学的試験に使用されるガラスの特性
8. 試薬の管理; 試薬の品質及び取扱(安全性)に関する事項
規格と製造ロット、分析に対する妨害不純物の確認方法:ブランク試験 (事例;溶媒中の不純物により検量線の切片が[-]マイナスになる)
講師紹介
1964年 国立山口大学 文理学部 理学科 化学卒業 1964年 日本電子株式会社 磁気研究室入社 化学的研究室を設立し、主に電子スピン共鳴の応用研究 1971年 JEOL(U.S.A.) New Jersey Lab. 研究所を設立し、共同研究体制での分析機器による応用研究 1975年 明治乳業株式会社入社 食品の物理化学的分析機器による成分分析法の開発・研究 1983年 経腸栄養剤の研究開発及び同医薬品化に関する研究 主に配合剤中のビタミンの定量方法の開発及びビタミンの安定性に関する研究 ・同医薬品製造承認申請(1985) ・同製造承認取得(1987) 1985年 肝型糖原病治療薬の研究開発及び同医薬品化に関する研究 ・同医薬品製造承認申請(1986)、 ・同製造承認取得(1988) 1987年 医薬品研究室長として栄養剤の研究・開発 1992年 核磁気共鳴画像(MRI)用医用診断造影剤の研究開発 ・第Ⅱ相試験終了(1999) 1994年 試験分析センター長として栄養剤中の有効成分に関する研究開発 1994年 高カロリー経腸栄養剤の研究開発及び同医薬品化に関する研究開発 ・同医薬品製造承認申請(1996) ・同製造承認取得(1997) 1995年 応用技術研究部 部長として乳児用調製粉乳、栄養食品、ベビーフード、スポーツ栄養食品等の開発研究 1999年 栄養科学研究所 副所長 2000年 栄養科学研究所 担当部長 (定年) MRI用胆管・膵管造影剤の医薬品製造承認申請(2003) ・同医薬品製造承認申請取得(2006) 2003年 造影剤の医薬品製造承認申請完了に伴い退職 2004年4月 株式会社サイエンステクノロジーインタラクト 技術顧問 大学等における技術に関する研究成果の民間業者への移転等 2005年 4月 ~ スペクトル解析支援センター(ESR、HPLC Adviser) HPLC・分光分析を中心とする講演、セミナー、通信教育講座 2006年4月 ~ NPO法人 分析産業人ネット 検査分析士資格推進委員 特級検査分析士;Science & Technology Adviser 2007年4月 ~ 日本真空機器株式会社 技術本部長&学術・教育担当部長 Science & Technology Adviser 資 格 1964年 3月 高等学校教諭免許 1979年11月 エックス線作業主任者 1968年 9月 無線従事者免許 1998年 9月 薬学博士号 2009年10月 特級検査分析士 所 属 学 会 日本薬学会、日本化学会 、ビタミン学会、磁気共鳴医学会 役職・活動状況 ・1994-1998 日本食品標準成分表基礎データの作成委員 ・1997-1999 食薬区分の規制に関するミネラル検討会委員 ・2000-2001 日本化学会 年会 特別講演企画委員・座長 ・2003-2004 日本人の食事摂取基準(2005年版)策定委員 ・2006~ 検査分析士資格推進委員;Senior Adviser for HPLC Technique