
摩擦問題解決のための
摩擦摩耗のトラブル対策 -摩擦の基礎と表面分析ー
摩擦の要因、表面の役割、低減方法および
表面分析手法,トラブル対策について解説する特別セミナー!!
- 講師
豊田工業大学 名誉教授 理学博士 本多 文洋先生
NPO法人テクノプロス 理事
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:47,250円 同時複数人数申込みの場合 1名:42,000円
- テキスト
受講概要
予備知識
特になし
習得知識
1)摩擦のメカニズム 2)摩擦摩耗の低減方法 3)表面分析手法とトラブル対策
講師の言葉
摩擦・摩耗を扱う分野は長い歴史を持ち、機械の発展とともに近年大きく発展してきた。 しかし今なお、その 本質たる摩擦のメカニズムは仮説の域を出ず、多くは経験則を頼りにしてきた。 機械が精密になり、正確な 動きが制御されなければならなくなった現在、これまでの摺動部材には、更に高精度と長寿命が要求される。 膨大な研究が重ねられているにもかかわらず、機械の精度と寿命を決める部品は今もって摩擦・摩耗特性が 支配する場合が大きい。例えば、摩擦力を支配する要素は何か、この命題に対して、ここの事例はあっても、 統一的に説明できる論理は一見ないように見える。 本質的に何か重要な要素を見落としているのではないで あろうか。 本講では表面の組成、特にごく表層の組成が重要な鍵を握っているのであろうと提案する。 表面特に極表 面層、極端に表面第1層の元素組成が摩擦に大きく寄与する実験結果が得られている。これまで、表面の薄い 部分の効果が注目されてこなかったのは、測定の手段が容易でなく、大きな影響ないと仮定して論議されて きた。無視できる場合もあるが、明らかに無視できない場合も多い。精密な動きが要求される場合はなおさらである。 摩擦・摩耗現象をより深く理解するために、本講座は表面分析のもたらす情報について基礎から解説し、 最近の研究事例を加えて、トラブルに際してどう対処すべきかを提案する。
プログラム
はじめに
摩擦摩耗特性と摺動部材の寿命
I. 摩擦現象の基礎
① 摩擦特性を支配する要因 1. 表面形状、硬さ、凝着力 2. 摺動要因:荷重、速度 3.材質間での相互作用 ② 表面と表面層の役割 1.表面の定義 2.表面の特異性、内部bulk組成と表面組成の差 3.表面エネルギー 4.表面への偏析segregation 5.表面層による摩擦への寄与 ③ 摩擦・摩耗を最小にする努力 1.油剤の液膜による方法 2.固体潤滑剤の被膜による方法 結晶内すべり面と層状化合物 3.軟質金属とすべり面による方法 4.高分子化合物による方法 5.化学的相互作用の無い面の間での接触 6.どうして表面分析が必要か
II 表面分析の手法とトラブル対策
① 表面状態」の情報を得る手段 ② トラブルの原因を探る:知りたい情報と分析法の選択 ③ 分析法の特徴と情報の性質 1.SEM, XD 2.EPMA, EDX 3.XPS, AES 4.SIMS, IR 5.SPM
III.事例と最近の研究例から
① 吸着現象と摩擦特性 ② 超潤滑現象の実例と考察 ③ 摩耗を用いた精密加工 その他
講師紹介
<略歴> 昭和44年名古屋大学理学研究科博士課程終了。東北大学金属材料研究所、助手の後、豊田工業大学 工学部助教授、教授を歴任。平成18年3月停年退任後、NPO法人テクノプロスを通じて、企業の若手技術者の 研修講義、中学生理科教育授業、県の科学振興事業などに参画し後進の育成に協力している。 日本トライボロジー学界理事、固体潤滑研究会主査などを歴任。現在同学会評議員。