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接着接合部のトラブルをなくすための

機械・部品の接着接合部における強度設計のポイントとトラブル対策
-最適な接着剤、表面処理、および接合部構造の決定法-

最適な接着接合部の設計に必要なキーポイントおよびトラブル実例の原因と対策を解説する特別セミナー!!

講師

日本車輌製造(株)鉄道車両本部 技術総括部 工学博士 技術士(機械部門) 鈴木 靖昭先生
中部大学・名城大学 非常勤講師  

日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

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受講料
(消費税等込み)1名:47,250円 同時複数人数申込みの場合 1名:42,000円
テキスト

受講概要

予備知識

 特になし

習得知識

 (1)最適接着剤および表面処理法
 (2)最適継手形式の設計方法および接着方法
 (3)接着継手の加速寿命試験のための環境耐久性試験および疲労試験方法

講師の言葉

 最適な接着継手の強度設計を行うためには、次の項目を満たすことが必要である。
  1.接着強度発現の基本的原理の理解。
  2.接着接合法の長所および短所、各種接着接合部の応力分布および破壊条件の理解。
  3.接着接合部の環境耐久性の理解。
  4.接着接合部の動的耐久性(疲労)の理解。
  5.最適な接着接合部構造の設計。
  6.被着材に適した表面処理法の決定および実施(プライマー塗布も含む)。
  7.適切な接着剤および接着方法の決定および接着作業の実施。
 そのためには、継手の使用条件を考慮して、上記の項目の内、力学的な2項、4項および5項を適切に理解し
実施する必要があるが、大きな接着強度を発現させそれを維持させるためには、さらに上記の1,3,6,7項の
理解および実施が必要であり、そこでは接着に関する化学的な知識が要求される。
 本講では、最適な接着接合部の設計を行うために、上記の各項目に関するキーポイントを分かりやすく解説する。
 また、接着接合部に関する多くのトラブルの実例を挙げ、その原因および対策を上記1~7項の観点から解説し
接着設計に対し、より理解が深められるようにする。

プログラム

1.接着の原理
 ①分子間引力 ②接着剤の役割 ③投錨効果 ④シーリング材の接着力発現の原理と役割
 ⑤粘着剤の接着力発現の原理及び役割
2.接着剤(主として構造用)の種類、特徴および選定方法
 (1)各種被着材に適した接着剤の選び方
  ①溶剤のSP値(溶解性指数)と高分子物質のCED(凝集エネルギー密度)との関係
  ②各種高分子物質のSP値 ③被着材のエネルギーによる分類 
  ④被着材に対する最適接着剤の選定法
 (2)耐熱性航空機構造用接着剤の品質規格(FS MMM-A-132A)
 (3)一般構造用接着剤(液状)
  ①エポキシ系接着剤 ②アクリル系接着剤(SGA) ③ポリウレタン系接着剤(室温硬化型) 
  ④シリコーン系接着剤 ⑤変成シリコーン系接着剤 
  ⑥その他の樹脂系接着剤 ⑦吸油性接着剤とそのメカニズム
3.被着材に適した表面処理法の選定
 (1)各種表面処理法  
  ①表面汚染物質の除去 ②研磨 ③脱脂(酸、アルカリ、有機溶剤) ④サンドブラスト処理 
  ⑤ショットブラスト処理 ⑥ケミカルブラスト処理 ⑦プラズマ処理 ⑧その他薬品処理 
  ⑨陽極酸化処理 ⑩プライマー処理 
 (2)各材料別表面処理法 
  ①炭素鋼 ②ステンレス鋼 ③アルミニウム合金 ④主なプラスチック
4.接着接合法の長所および短所
5.各種接着接合部の応力分布およびの破壊条件
 (1)接合部のFEM応力解析法
 (2)各継手の応力分布(引張り荷重、曲げ荷重、接着層収縮の場合)
  ①重ね合せ継手 ②突き合せ継手 ③スカーフ継手
 (3)はく離の場合の応力分布
 (4)スポット溶接-接着併用継手の応力分布(ウェルドボンディング)(引張り荷重)
 (5)接着層の破壊条件(破壊基準)
6.接着接合部の湿潤-応力負荷条件下の環境耐久性
 (1)アレニウスモデル(温度条件)による耐久性加速試験および寿命推定法
 (2)アイリングモデル(応力条件)による耐久性加速試験および寿命推定法
 (3)湿潤-応力負荷条件下の耐久性寿命推定法および耐久性試験結果
7.接着接合部の疲労試験方法および疲労試験結果
 (1)アイリング理論から誘導されるS-N曲線
 (2)マイナー則(線形損傷則)
 (3)接着継手の疲労試験結果
 (4)スポット溶接-接着併用継手の疲労試験結果
 (5)リベット-接着併用継手の疲労試験結果
8.最適な接着接合部の設計
 (1)主な接着継手の種類および継手形状と接着強度との関係
 (2)各種継手形式による応力集中の比較
 (3)接合部構造の設計方法
 (4)アングル部およびコーナー部の応力の評価
 (5)応力解析および継手強度測定による接着強度の評価と安全率の設定
9.接着接合部のトラブル事例およびその対策
10.質疑応答

講師紹介

 略歴 
  1965年3月 名古屋工業大学 工業化学科卒業
  1965年4月 日本車輌製造株式会社入社 技術研究所(現 開発本部)に配属
 
 在職中の主な接着関係の業務
  高圧発電機絶縁用エポキシ樹脂の研究開発、FRPの車体への応用のための成形および接着接合の
 研究、CFRP-Al接着接合板の弾塑性曲げ解析および実験に関する研究、エポキシ系接着剤による鋼の
 接着継手のFEM応力解析および破壊条件に関する研究(日本機械学会、日本接着学会および日本材料
 学会にて研究発表および論文掲載)、ステンレス鋼のスポット溶接-接着併用継手の車体への応用のための
 研究(FEM解析、静的および疲労強度測定、湿潤-応力負荷条件下の耐久性試験実施)、
 ステンレス-Al板のリベット-接着併用継手の車体への応用のための静的および疲労強度に関する研究、
 車両用全周ホロの接着に関する研究、などに従事。

  2003年3月 定年退職(最終役職 開発本部 部長)
  2003年4月~2008年12月 同社 開発本部に非常勤勤務(接着に関する研究に従事)
  2009年1月~現在 同社 鉄道車両本部 技術総括部に非常勤勤務(接着に関する業務に従事)
  1987年1月 工学博士(名古屋大学)
  2001年3月 技術士(機械部門)
  2003年4月~現在 中部大学および名城大学非常勤講師

 著書 
  12冊(いずれも共著) 接着ハンドブック第4版(日本接着学会編、日刊工業新聞社刊)、
  構造接着の基礎と応用(宮入裕夫編、シーエムシー出版刊)
  表面処理技術ハンドブック -接着・塗装から電子材料まで-(水町浩・鳥羽山満編、(株)エヌ・ティー・エス刊)
  プロをめざす人のための接着技術教本(日本接着学会編、日刊工業新聞社、2009年6月出版予定)、など

 所属学会 日本機械学会、日本接着学会、日本材料学会、色材協会(審議委員)