
溶接の原点から溶接の信頼性向上に活かせるノウハウを学ぶための
溶接の信頼性とトラブル対策
溶接の原点・溶接の問題点、実際に使えるノウハウをわかりやすく解説する特別セミナー!!
- 講師
第一部 黒板技術士事務所 所長 黒板 邦夫先生
第二部 プロジェクト サーブ 代表 井上 眞先生(日産自動車(株)、日産工機(株)取締役を経て現職)
- 日時
- 会場
- 受講料
- 1名:47,250円 同時複数人数お申込みの場合1名:42,000円
- テキスト
受講概要
受講対象者
溶接専門技術者を除き溶接関連の業務に従事するすべての方
必要な予備知識
出来れば金属材料に関する知識 特別な予備知識は不要ですが、溶接への好奇心をお持ちの方。
受講後の修得知識
1)溶接を一つの映像の様に脳裏に残す 2)溶接の信頼性向上に活かせるノウハウ 3)溶接品質トラブルの原因推定力の向上
事前質問
溶接について職場の課題や受講者の困っていることに講師がお答えしますので、質問事項を事前にTH企画セミナーセンターのメール(th@thplan.com)にてお寄せください。
プログラム
第一部 溶接の原点をイメージ化し、ノウハウを掴む 黒板 邦夫先生 10:00~12:50
Ⅰ溶接という結合加工の意義
1.そのルーツは 2.接着剤やロウ付けでは駄目なのか 3.何故アナログ的なのか 4.削る、磨く事と溶かす事の違い 5.被覆溶接棒で溶接が求める条件を考える 6.被覆溶接棒で溶接の多様化を括る
Ⅱ溶接の信頼性を損なうものは
1.切欠とは 2.切欠の意味をどんどん拡大して A 溶接欠陥 B 溶接部の形状 C 冶金的不連続 3.つまりは応力集中 4.応力と外力は違うのか 5.切欠脆性の体感 6.溶接大事故をイメージする 7.引っ張り応力の体感 8.曲げ応力の体感 9.金属疲労の体感
Ⅲ冶金的問題
1.早く冷めすぎると A 焼入れをイメージする B 高炭素鋼、高張力鋼、鋳鉄の溶接例 2.遅く冷めすぎると A エレクトロガス溶接の例 B フラッシュバット溶接の例
Ⅳ溶接の問題点
1.水素が嫌い 2.酸素が嫌い 3.或る金属は窒素も嫌い 4.許せる欠陥 5.許せない欠陥 6.歪と残留応力は二律背反 7.溶接構造物の入院はSR焼鈍 8.溶接構造物の通院治療は、局部焼鈍、欠陥補修、ショットピーニング、歪とり、形状修正など
Ⅴ設計者が考える
1.材料の種類は 2.どんな荷重か 3.開先は 4.使用温度は 5.特殊な腐食は起こさないか
質疑応答
第二部 生産現場から学ぶノウハウという名の贈り物 井上 眞先生 13:30~16:40
Ⅰはじめに
1.溶接という固有技術 1)過渡現象と深い仲 2)不均衡を均衡させるという永遠のテーマ
Ⅱアーク現象の不思議
1.アーク溶接とは 1)アーク溶接の歴史 2)アーク溶接は雷の再現 2.アーク現象を目で捉える 1)高速度カメラでなぞを解く 3.アーク現象の原理 1)アーク溶接はこんなにも種類が多い 2)溶滴の移行形態 3)溶接にもピンチがある 4)シールドガスで個性が変わる 4.溶接品質、施工生産性に関わる現場ノウハウ 1)上り坂、下り坂、まさか! 2)犯人はアースだった 3)高速で美しい溶接ビードを求めて
Ⅲ設計者が気をつけたい施工ノウハウ
1.溶接部の形状 1)溶け込み形状が影響 2)溶接は綱引き勝負 3)応力のかかるところはどこか 2.治具設計で決まる部品精度 1)治具精度の向上なくして自動化なし 2)気遣いが精度を向上させる 3)溶接精度に影響するポイントはこんなに多い 4)プレス設計との連携も重要
Ⅳ終わりに
講師の言葉
黒板先生
涯しなく続く時間の流れの中にも、鮮やかに幼い時の或る瞬間が蘇る事がある。 7才位の頃、亡父に連れられて初めて工場の門を潜った時、私の脳裏を貫いたのは正に溶接の閃光であった。 左脳の弱い私が、何とか技術の世界に携わって来られたのも、周囲に原点をイメージ化して話して下さった 多くの方々が居たからだと、しみじみ思う。 大仏と言えば奈良だが、それを遡る事200年、飛鳥の大仏などは高句麗からの渡来人、止利仏師・鋳物師 (いもじ)が秘法(ノウハウ)のみで見事に後世に残る逸品を作り上げた。デポと称する溶着金属部は正に 鋳造組織であり、溶接のルーツは匠の技と言えるかも知れない。それ故、溶接技術はノウハウの宝庫とも考えられる。 本講義では原点をイメージ化させる事により、論理を徹底させ、ノウハウの世界を遊泳しながらストレスの無い アナログ思考や非線形思考で、何処まで受講者の方々に専門性と言う現代の聖域のようなものを打ち破って 戴けるか、という事が私の一つの勝負である。 私は溶接工学を学ぶ前に、仏教に興味を持って仏教科も出たが、先輩、同期、後輩で激烈な密教系の修行をした 修行僧から数々の秘伝(ノウハウ)を聞き出した。受講者の皆さんがノウハウを広大に捉え、更に人生を豊かに して下されば望外の喜びである。
井上先生
溶接技術は単純に≪定常状態≫を利用した技術ではなく、不安定な≪過渡現象≫をなだめすかしして、 うまく利用している技術です。いわば曲芸を見事にやってのけるサーカスのようなものかもしれません。 そのこともあって、設計者や現場技術者からは、安定した品質を確保しにくい技術、あるいは良く分からない 技術というレッテルをもらうことが多々あります。 しかしながら、溶接技術を知れば知るほど、いろいろな現象が、あるルールによって見事に説明できることに 驚いてしまいます。このルールは数学の定理のようなもので、不具合や品質不良があったときに、原因を正確に 推定することができ、解決へ向けての道筋を教えてくれるものです。 これらのルールは、学者が研究の末に導き出すという高度な研究技術ではなく、経験則と基本的知識から 容易に入手することができるものです。言葉を変えると≪溶接技術のノウハウ≫という表現をすることができるでしょう。 溶接技術のノウハウを使えば、溶接のトラブルと言われるものの多くを見事に整理できるものですから、 ノウハウを入手した時の喜びは天上にも昇る喜びです。いくつかのノウハウを知ることで、溶接技術の大家に なった気分になるほど応用力もあります。 この研修では、溶接を専門としていない人にも理解して頂けるよう、分かりやすく解説をするつもりです。 また、溶接が専門でない設計者や現場技術者が実際に使えるノウハウのいくつかを持ち帰って頂きたいと 考えています。
講師紹介 黒板邦夫先生
(株)黒板工業所 副社長を経て黒板技術士事務所設立 元 埼玉大学非常勤講師(溶接工学) 元 千葉大学非常勤講師(溶接法) 元 月島機械技術顧問 現在 同社社友 (社)日本技術士会 名誉会員
講師紹介 井上 眞先生
大阪大学 大学院 工学研究科(溶接工学専攻)修了 ・ 日産自動車㈱横浜工場など生産部門の課長、本社部門の部長を歴任 ・ 日産工機㈱取締役就任 ・ 執筆に専念するために独立。プロジェクト サーブ代表を務める。 ・ 「IEという名の魔法の虫めがね」、「整備工場の仕事を科学する」などの出版著書のほか、 月刊誌、新聞、雑誌の連載・寄稿多数。 ・ 国土交通省、自動車業界、銀行、各種団体主催の講演の他、工業短大・整備専門学校での講義など 163回(2007年1月時点)を数える。