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10の8乗~10の9乗回の繰り返し数における疲労破壊が生じる例が報告されている

金属疲労の基礎と超高サイクル疲労のメカニズムおよび評価法

金属疲労の基礎知識を整理し、超高サイクル疲労のポイントを解説する特別セミナー!!

講師

北海道大学 大学院 工学研究科  教授 工学博士 中村 孝先生

日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

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受講料
1名:47,250円 同時複数人数お申込みの場合1名:42,000円
テキスト

受講概要

対象者

1)金属疲労の知識を整理したい方
2)金属疲労設計に携わっている方
3)基礎からわかりやすく解説するので初心者にもお勧め

予備知識

材料力学,材料学の基礎知識があれば理解しやすいと思います.
ただし,超高サイクル疲労を考える上で必要な知識は講義内で解説します.

修得知識

■金属疲労の基礎知識
■超高サイクル疲労と他の疲労の相違点
■超高サイクル疲労に関する最新の研究動向
■超高サイクル疲労を避ける方法

講師の言葉

金属疲労は,機械・構造物の破損原因の7~8割を占めると言われています.従来,1×(10の7乗)回の繰返し数に
耐えられれば,材料に疲労破壊は生じないと考えられてきました.
   しかし,最近,ある種の高強度材料の中で,10の8乗から10の9乗回の繰返し数において,予期しない低応力でも疲労破壊を
生じる例が報告されるようになってきました.
この現象は超高サイクル疲労,ギガサイクル疲労,超長寿命疲労などと呼ばれ,材料強度研究者の中で深刻な
課題として認識されています.軽量化や高速化など,機械の使用条件が過酷化する中で,高強度材料はますます
重要な位置を占めています.このため,超高サイクル疲労とは何か,また,これにどのように対処すべきかを
知ることは,今後の機械設計や品質保証において避けられない課題です.
   本講座は,前半で金属疲労の基礎知識を整理し,後半で超高サイクル疲労のポイントをまとめます.
特に後半では,超高サイクル疲労の特徴,影響因子,メカニズム,評価法などを最新の研究動向に基づいて
解説します.実際に疲労設計に携わっている方や疲労の知識を整理したい方を対象に講義しますが,基礎から
わかりやすく解説しますので初学者にもお勧めできます.

プログラム

1. 金属疲労の基礎知識
     1.1 金属疲労とは?

     1.2 S-N曲線と疲労限度

     1.3 疲労限度に及ぼす影響因子
        1.3.1 静的強度
        1.3.2 切欠きおよび微小欠陥
        1.3.3 寸法
        1.3.4 平均応力

     1.4 疲労き裂進展特性
        1.4.1 応力拡大係数
        1.4.2 da/dN-ΔK関係
        1.4.3 き裂進展下限界△Kthに及ぼす影響因子
           (a) 応力比
           (b) 静的強度
       (c) き裂閉口
       (d) き裂長さ

     1.5 S-N曲線とda/dN-ΔK関係の対応
2. 超高サイクル疲労の問題点と対応策
     2.1 超高サイクル疲労とは?
        2.1.1 超高サイクル疲労の定義 
           (a) 内部破壊の発生
       (b) 疲労限度の消失
       (c) 他の金属疲労との相違点
        2.1.2 各種材料の超高サイクル疲労特性
        2.1.3 内部破壊と二重S-N線図

     2.2 内部破壊の特徴
        2.2.1 破壊起点と疲労特性
           (a) 高強度鋼の例
       (b) チタン合金の例
       (c) 平均応力の影響
        2.2.2 内部き裂進展過程の分類
       (a) 高強度鋼の例
       (b) チタン合金の例
        2.2.3 初期き裂進展破面(ODA領域)の特異性
       (a) 表面破壊との相違
       (b) 平均応力の影響

       2.3 内部き裂進展機構に関する最新の研究
        2.3.1 起点周囲にトラップされた水素
        2.3.2 微細炭化物周囲の剥離
        2.3.3 内部き裂進展過程におけるナノ結晶化
        2.3.4 内部き裂周囲の真空環境

     2.4 超高サイクル疲労の評価法
        2.4.1 既存の評価法と問題点
     2.4.2 超高サイクル疲労の対応策
           (a) 超高サイクル疲労が現れる条件
       (b) 材質と平均応力
       (c) 内部破壊におけるΔKthの考え方

講師紹介

略歴 
昭和61年3月:東京工業大学大学院理工学研究科生産機械工学専攻修士課程修了
昭和61年4月:日本ムーグ㈱入社
平成3年1月:東京工業大学工学部助手
平成7年2月:博士(工学)取得(東京工業大学)
平成7年5月:北海道大学工学部助教授
平成16年10月:カナダ・アルバータ大学客員研究員(平成17年7月まで)
現在に至る.

(なお,平成19年4月から,北海道大学大学院工学研究科教授への採用が決まっています.)   

所属学会・協会
日本機械学会,日本材料学会,日本鋳造工学会,日本航空宇宙学会,日本応用磁気学会

役職・活動状況
日本材料学会評議員,日本材料学会疲労部門委員会幹事