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継手品質の確保が構造全体の信頼性向上に寄与する

溶接部の破壊強度評価手法
~ワイブル応力に基づく新しい評価手法とその工業的応用~

溶接・接合部の残留応力・ミスマッチの破壊強度への影響及び
                          破壊強度の新しい評価手法を解説する特別セミナー!!

講師

大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授 工学博士 南 二三吉先生

日時
会場

連合会館 (東京・お茶の水)

会場案内

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受講料
1名:47,250円 同時複数人数お申込みの場合1名:42,000円
テキスト

受講概要

予備知識

■溶接強度設計の基礎
■破壊力学の基礎

修得知識

溶接部特有の
1) 溶接残留応力
2) 母材と溶接金属の強度的ミスマッチ
3) 材質劣化が継手の静的強度・破壊強度に及ぼす影響の評価手法が修得できる。
4) 破壊靭性試験で得られた情報を構造要素の性能評価にいかに適用すればよいかの考え方が修得できる。

講師の言葉

   溶接構造物/構造体では,強度・変形能などの構造性能に果たす「つなぎ 目」としての継手の役割が大きく,
継手品質の確保が構造全体の信頼性向上に 大きく寄与することは言うまでもない。しかし,溶接接合部は,
材質的にも力 学的にも母材とは異なった特性となることが避け難く,これらが継手性能にい かなる影響を及ぼすかを
把握しておく必要がある。
  本講では,まず,溶接部に存在する1) 溶接残留応力や,2) 母材と溶接金属 の強度的ミスマッチ,3) 材質劣化が
継手の静的強度や破壊強度にどのように 影響するかを示し,溶接継手の破壊強度評価上の留意事項をまとめる。
 次に,破壊力学パラメータ(応力拡大係数Kやき裂先端開口変位CTODなど) を指標とする従来の破壊評価法は,
構造要素の塑性変形規模が大きくなるとか なり安全側の評価となる問題点をふまえ,ワイブル応力を破壊駆動力と
する新 しい破壊評価法「ローカルアプローチ」を紹介し,その考え方の特徴と実破壊 評価への適用例を示す。
  さらに,ワイブル応力の考え方が世界で最初に採用された破壊評価法とし て,日本溶接協会規格:WES 2808
「動的繰返し大変形を受ける溶接鋼構造物の 脆性破壊性能評価方法」を紹介し,破壊評価の新しい考え方が
工業的に活用され始めていることを述べる。

プログラム

第1部 溶接強度評価工学

1. はじめに
2. 溶接継手の静的強度
 2.1 形状的不連続の影響
 2.2 溶接残留応力の影響
 2.3 強度的ミスマッチの影響
     (1) 混合則型の強度形態
     (2) 塑性拘束型の強度形態
     (3) 部材配置・部材寸法依存型の強度形態
3. 溶接継手の疲労強度
 3.1 形状的不連続の影響
 3.2 溶接残留応力の影響
4. 溶接継手の脆性破壊強度
 4.1 溶接継手の脆性破壊の支配因子
 4.2 溶接継手の脆性破壊強度に及ぼす諸因子の影響 
  4.2.1 溶接残留応力,初期不整の影響
  4.2.2 材質劣化の影響
     (a) 溶接ボンド脆化および局部的靭性劣化(LBZ)
     (b) 溶接熱ひずみ脆化
  4.2.3 強度的不均質の影響
 4.3 溶接部の破壊靭性試験
   4.3.1 破壊靭性試験の目的
   4.3.2 破壊靭性評価のポイント

第2部 ワイブル応力を用いた溶接鋼構造物の破壊安全性評価手法

1.はじめに
2.脆性破壊限界に及ぼす塑性拘束の影響
 2.1 破壊靭性値の部材形状・寸法依存性の一般的特徴
 2.2 破壊靭性値のき裂寸法依存性
 2.3 破壊靭性値の負荷様式依存性
3.塑性拘束の影響の評価手法
 3.1 J-T理論,J-Q理論
 3.2 脆性破壊へのローカルアプローチ
  3.2.1 ワイブル応力
  3.2.2 ワイブル応力の計算法
4.ワイブル応力による脆性破壊問題の評価
 4.1 ワイブル応力クライテリオンの妥当性
  4.1.1 試験片厚さの影響
  4.1.2 き裂長さの影響
  4.1.3 負荷様式の影響
  4.1.4 強度的ミスマッチの影響
  4.1.5 負荷速度の影響
 4.2 ワイブル応力クライテリオンによる脆性破壊限界の評価
  4.2.1 評価手順
  4.2.2 部材形状・寸法の影響の評価
  4.2.3 負荷様式の影響の評価
  4.2.4 材質不均一の影響の評価
  4.2.5 動的負荷の影響の評価
  4.2.6 予荷重による残留応力の影響の評価
5.破壊評価規格へのワイブル応力の導入
 5.1 日本溶接協会規格WES 2808
  5.1.1 破壊評価手順
  5.1.2 適用例
 5.2 基準認証研究開発事業「鉄鋼材料の破壊靭性評価手順の標準化」

講師紹介

 略歴:昭和53年3月 大阪大学工学部溶接工学科卒業          
     昭和55年3月 大阪大学大学院工学研究科博士前期課程溶接工学専攻   修了
          昭和55年4月 大阪大学 助手 (工学部)
     平成2年4月  大阪大学 助教授(工学部)
     平成元年4月~平成元年9月 西独カールスルーエ原子力研究所客員研究員
     平成10年4月 大阪大学 助教授(大学院工学研究科)
    平成14年4月 大阪大学 教授(大学院工学研究科)
           現在に至る

■所属学会・協会および役職・活動状況:(平成18年度)
 日本規格協会:鉄鋼材料の破壊靭性評価手順の標準化委員会委員長
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構:地下備蓄システム委員会副委員長
                 石油ガス設備技術委員会委員長
 溶接学会:理事,代議員
      情報化委員会委員長
      溶接構造研究委員会委員長
 日本溶接協会:評議員
      鉄鋼部会FTS委員会幹事
      化学機械溶接研究委員会委員長
      IWP小委員会委員長
 日本金属学会
 日本高圧力技術協会
 日本材料学会
 日本船舶海洋工学会
 米国溶接協会(AWS)
 米国材料試験学会(ASTM)