
においの“見える化”を本質から理解する!
官能評価とGCMSを軸に、におい定量化の理論と実践を体系的に学習。複合臭・異臭・快不快評価まで網羅し、センサの限界と可能性を科学的に読み解く。開発・評価に関わる技術者必見の集中講座!!
- 講師
株式会社におい科学研究所 代表取締役 喜多 純一 先生
元 島津製作所
- 日時
- 2025/8/20(水) 10:00〜16:30
- 会場
- 受講料
(消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
※別途テキストの送付先1件につき、配送料1,210円(内税)を頂戴します。
- テキスト
- 製本資料(受講料に含む)
受講概要
- 受講形式
会場・WEB
- 受講対象
においに関連される食品、香料だけでなく、自動車、化学メーカー、環境関連、エネルギー関連など広い業種を対象としている。
部署としては、材料の研究開発、品質評価、環境保全等、におい、香り、悪臭、異臭制御を行われる方などが対象となります。
- 予備知識
特に必要ありません。
においに対して初めてアプローチされる方から、においの測定について長年手掛けてこられた方に対しても、ご満足いただけるように、においセンサの現状と将来展望や複合臭に対する機器分析の対応方法など、内容の濃いものとなっている。
それぞれの内容は深いものの時間が十分にあるので、においに初めてアプローチされる方についても、予備知識がなくてもご理解いただけるように基礎的なところから丁寧に説明を行う。
- 習得知識
1)においの定量化を難しくしているにおいの本質を理解できる。
2)上記の本質を踏まえた上で、官能評価をできるだけ定量的にばらつきを抑えて行う方法を習得できる。
3)上記の本質を踏まえて機器分析でにおいをどのように定量化するかを具体的に学べる。
4)上記の本質を踏まえると、ポータブルのにおいセンサの実現が一見不可能に思われるが、その対処方法が学べる。
- 講師の言葉
においの本質をしっかりと抑えた上で、においの定量化におけるゴールドスタンダードである官能評価についての知識を深め、においの定量化の軸を確立したうえで、官能評価に対して客観性を上乗せされるGCMSを中心としたにおい分析の基礎および応用を説明する。
機器分析には必須なサンプル濃縮技術を含む前処理技術について説明し、さらにはにおい嗅ぎを含むGCMS分析をにおい分析として強化する方法を明示する。
その後、においを簡易的に定量化を目指すにおいセンサがなかなか安心して使えるデバイスにならないのかについて、においの本質をもとに、理論的に説明をする。それをもとに今後のにおいセンサの実用化方法を考察する。
においの本質について対応しているにおい識別装置についても説明する。
また、機器分析では測定が難しい複合臭について、どのような工夫があるかについても説明する。
- 受講者の声
香りについての知識があまりなくても理解できるようにかみ砕かれた説明でとてもためになりました。
これまで本などを読んでも理解しにくかったところがアニメーション等で表現されていてわかりやすかった。チャートを分割する手法はぜひ参考にしたいです。
実際の事例を交えながら説明いただけたので、どんなことができるのかイメージしやすかったです。質問に対して誠実に対応をして頂き、大変勉強になりました。
官能系に重点が置かれていたように感じました。最近よく耳にする薄膜に吸着するタイプの最新のセンサ等についての活用法や注意点など知見をご紹介いただければと思いました。
分かりやすい説明で良かったです。会場で直接質問できたので非常に有意義でした。ありがとうございました。
プログラム
1.においを見える化する上で重要なにおいの本質とは?
1-1 においの本質に対するよくある誤解8項とは?
1-2 においは3の側面で考えるとわかりやすい。
1-3 五感の一つとしてのにおいの位置づけ。
1-4 においに原臭は存在するのか?
2.嗅覚の検知メカニズム
2-1 鼻の構造と嗅覚レセプター
2-2 嗅覚レセプターの応答機構
2-3 複数の嗅覚レセプターとにおいの応答の関係
3.本質の誤解のもとになる複合臭が引き起こす不思議な現象
3-1 飲料の場合
3-2 お菓子の場合
3-3 ワインの香りの場合
3-4 お香の場合
3-5 香り評価のオミッション法とは
3-6 複合臭の特長とその由来は?
3-7 複合臭の特長としてのマスキング
3-8 においの分類方法
4.においの単位とは?
4-1 におい物質濃度とにおいの強さの関係
4-2 においの強さの単位とは?
1) 臭気強度
2) 臭気濃度
3) 臭気指数
4-3 検知閾値、認知閾値、弁別閾値とは?
4-4 原臭がないため決めにくいにおい質の単位
1) におい物質とにおいの種類の推定
2) フレーバーホイール
3) 官能によるにおい質の表現とQDA法
4) 自動車ISOのにおい質
5) SD法
4-5 においの嗅ぎ方の違い、オルソゴナルなにおいとレトロネーザルアロマとは
5.においの見える化方法
5-1 官能評価と機器分析のにおい定量化における位置関係
5-2 日本における、におい測定方法の変遷
5-3 海外におけるにおい強度の測定方法
5-4 臭気指数表現の場合に注意したいこと
6.官能評価法における客観性確保の工夫
6-1 分析型官能評価と嗜好型官能評価に違い
6-2 官能評価の種類とばらつきを低減させる工夫
1) 2点比較法 2) 3点比較法 3) SD法 4) QDA法 5) 順位法
6-3 自動車車室内における、においの測定法(ISO)
6-4 官能評価パネルの選定方法
6-5 装置を利用した官能評価
1) 検知閾値の測定方法
2) 弁別閾値の測定方法
6-6 官能評価で注意すべき点
7.機器分析の種類とにおい測定上に工夫
7-1 成分に分離する方法と成分に分離しない方法
7-2 成分に分離する分析(GC,GCMS)装置
1) その原理
2) におい嗅ぎGCが必要な理由
3) 分離分析の解析例
4) 複合臭に対する分離分析のアプローチ
7-3 におい嗅ぎGC,GCMSシステム
1) 装置の構成
2) GCMSの出力からアロマクロマトグラムへの変換
3) アプリケーションとしての、癌臭分析
7-4 複合臭を成分分析できっちり分析してみると?
1) ビールを香気が再現するまで分析できるか
2) 2次元GCMSを利用してみたら。
7-5 成分分析用のサンプル前処理技術(濃縮技術)
1) HS法とTD法
2) 直接加熱 固相抽出
3) SPME法
7-6 分離分析前に行う、においの単離方法
1) 蒸留法
2) 抽出法
3) 吸着法
8.においセンサ
8-1 においの本質を熟考するとポータブルのにおいセンサは実現しない?
8-2 開発されたポータブルなにおいセンサに良く起こる問題
8-3 ポータブルにおいセンサが目指せるところは?
8-4 においの本質からにおい識別装置の仕組み
装置原理、解析原理
9.快・不快度測定
1) 官能評価による方法
2) におい識別装置を快、不快測定に適応した例
10.成分分析による異臭分析
11.複合臭に対するオミッション法の利用
略歴
京都大学を卒業後、島津製作所にて、各種センサおよびにおい識別装置を含むにおい関連分析装置の開発に従事。
工学博士:九州大学大学院システム情報科学研究院
2022年に島津製作所を退職後、株式会社におい科学研究所を設立。
主な著作
J.Kita, etal :Quantification of the MOS sensor based Electronic nose utilizing trap tube, Technical Digest of the 17th Sensor Symposium,m301 (2000)
島津評論第59巻第1・2号 p.77~85 (2002)
島津評論第64巻第1・2号 p.63~79 (2007)
アロマサイエンスシリーズ21〔6〕におい物質の特性と分析・評価 5章3 半導体センサ(2)
におい香り情報通信 第3章 12.におい測定装置 p.177~p.187
超五感センサの開発最前線 2.3.7 におい識別装置の開発 p.197~p.205
Sensor and Materials vol.26 no.3 2014 149-161
味嗅覚の化学 においセンサおよびにおい識別装置を用いた臭気対策 p.207。
所属学会
においかおり環境学会
日本分析化学会
<学会等の職務>
においかおり環境学会 学会委員 2009年~2018年
においかおり環境協会 編集委員 2019年~現在
においかおり環境協会 理事 2021年~現在
主な受賞履歴
におい識別装置FF-2A (社)においかおり環境協会 平成18年度 技術賞
電気学会進歩賞受賞(におい識別装置)
希釈混合装置FDL-1 (社)においかおり環境協会 平成26年度 技術賞
長年におけるにおい識別装置の開発研究 (社)においかおり環境協会 平成26年度 学術賞
におい識別装置の開発および実用化への導入 (社)日本分析化学会 2022年度 技術功績賞
車室内環境技術部門委員会に多大なる貢献 (社)自動車技術会 2023年度 技術部門貢献賞