ボルトや接着、抵抗スポット、レーザ、FSW、超音波、ろう付まで、長所短所と条件決め・欠陥対策を具体例で解説します。アルミ×鋼など異種金属接合の実務に直結する判断軸を習得できます。試験評価や継手設計の勘所、プロセスウィンドウの作り方、量産立上げでの品質・コスト最適化までを体系的に学べます。
- 講師
ソノヤラボ株式会社 代表 園家 啓嗣 先生
元 山梨大学教授 工学博士、技術士(金属部門)、International Welding Engineer(IWE)
- 日時
- 2025/12/18(木) 10:00〜17:00
- 会場
- 受講料
- (消費税等込み)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
- テキスト
- PDF資料(受講料に含む)
受講概要
- 受講形式
会場・WEB
- 受講対象
各種製品メーカーの技術者・設計技士
材料メーカーの技術者 など
- 予備知識
特別必要ありません。
- 習得知識
1)金属接合技術の基礎理論
2)機械的接合、融接、圧接、ろう接の原理・特徴と応用例
3)各種接合法の長所、短所、接合強度に関する詳細な知識
4)アルミニウム・鉄鋼などの異種金属接合に関する最新技術と課題
5)抵抗スポット溶接、摩擦攪拌接合、超音波接合など個別技術の接合条件・評価・欠陥対策
- 講師の言葉
接合は古代からある基盤技術である。現在の構造物はほとんどが溶接構造でできており、接合はものつくりの基本となる技術であると考えられる。
本セミナーにおいて、初めに接合の意義、歴史(アーク溶接や抵抗溶接の古代から現在までの移り変わり)について説明する。次に各種の接合法について基礎とその応用について解説する。先ず、機械的接合法は、ボルト・リベット、セルフピアシングリベット(SPR)、カシメ、接着などについて原理、特徴などについて述べ、新しい技術についても紹介する。そして、冶金的接合法について説明する。冶金的接合は大きく分けて融接(溶接)、圧接、ろう接に分かれる。融接にはアーク溶接、抵抗溶接、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接がある。それぞれの手法について原理、特徴、適用例などついて説明する。圧接には、ガス圧接、拡散接合、摩擦攪拌、超音波接合などがあり、各々の原理、特徴、適用例を説明し、その中で新しい技術も紹介する。最後に、ろう接について原理と特徴、レーザを使った新しい方法などについて述べる。
最近は、自動車ボデイのアルミ/鉄鋼の異種金属接合(軽量化と安全化両立のため)を始めとして、各種分野でマルチマテリアル化が推進されている。従って、先ず自動車等での機械的接合による異種金属接合について、原理、特徴、現状やこれからの展開について解説する。
次に融接については、筆者の研究データを用いて抵抗スポット溶接によるアルミ・異種金属接合の原理、特徴、課題について説明する。また、進歩が著しいレーザ溶接による各種の異種金属接合について、特徴、課題、適用例等について述べる。圧接については、摩擦攪拌による異種金属接合は輸送機関を始め各種分野で適用されており、各種の異種金属について特徴、課題を始め今後の展開などについて説明する。超音波接合では、アルミ合金/鉄鋼をはじめ各種の異種金属接合について、筆者の研究データを基にして特徴、課題、適用例について解説する。最後にろう接では、最新技術のレーザを用いた異種金属ろう付について特徴、適用例などについて説明する。
本セミナーでは金属の接合の基礎から応用、更に異種金属接合への展開まで、製造トメーカーや材料メーカーの技術者が理解できるようにわかり易く説明したい。本内容は、メーカーの現場の技術者や設計技師にも実務を行う上で大いに役立つと考える。
プログラム
1.概説
1.1 接合の意義
1.1.1 接合とは
1.1.2 接合の歴史
(1)古代
(2)近代
(a)アーク溶接
(b)抵抗溶接
(3)現代
2.各種接合法
2.1 機械的接合
2.1.1 機械的接合の種類
2.1.2 機械的接合の特徴
(1)機械的接合の長所
(2)機械的接合の短所
2.1.3 機械的接合部の接合強度
(1)接合強度のJIS規格
(2)機械的接合法と抵抗スポット溶接の強度比較
2.1.4 異種金属の機械的接合
(1)SPR(Self-Pierce Riveting)
(2)Tuk-Rivet®
(3)FDS® (Flow Drilling Screw)
(4)ImpAcT(Impulse Accelerated Tacking)
(5)FEW(Friction Element Welding)
(6)各接合法の比較試験
(a)接合方法
(b)継手の種類
(c)評価項目
(7)各接合法の比較試験結果
(a)施工性
(b)断面マクロ
(c)継手強度の比較
(d)破断形態
(e)接着剤との併用
(f)機械的接合の適用例
2.1.5 接 着
(1)接着の原理
(2)接着の前処理
(a)簡易清掃(脱脂)
(b)機械洗浄手法
(3)接着剤の強度
(4)異種金属の接着接合
(5)分子接合(新技術)
2.2 冶金的接合
2.2.1 融接(溶接)
(1)溶接の長所と課題
(2)MIG溶接
(a)直流MIG
(b)交流MIG
(3)レーザ溶接
(a)特徴
(b)種類
①CO2レーザ
②YAGレーザ
③パルスYAGレーザ
④半導体レーザ(LD)
⑤デイスクレーザ、ファイバーレーザ
(c)異種金属のレーザ溶接
1)鉄鋼/アルミニウム合金
2)鉄鋼/銅
3)アルミニウム合金/チタン合金および 鉄鋼材料/チタン
4)ステンレス鋼、アルミ、銅の異材接合
5)異種金属の溶接の可能性
6)金属/プラスチック
(4)レーザ・アークハイブリッド溶接
(a)特徴
(b)継手性能
(c)適用例
(5)電子ビーム溶接
(a)真空電子ビーム溶接
(b)非真空電子ビーム溶接
①特徴
②適用例
(6)抵抗スポット溶接
(a)原理
(b)溶接部の電流密度
(c)接触抵抗
(d)溶接部の冷却
(e)溶接部の温度分布
(f)抵抗スポット溶接部の特徴
(g)溶接欠陥とその対策
(h)抵抗スポット溶接の3大条件とその設定
①溶接電流
②通電時間
③電極加圧力
(i)アルミニウム合金と低炭素鋼の抵抗スポット溶接条件例
(j)異なる板厚・材質の組み合わせ
①異なる板厚の場合
②異なる材質の場合
(k)厚板のスポット溶接
①接合強度
②接合部の断面観察
(l)極性効果
①ナゲット形成への影響
②被溶接材表面への電極銅の付着とその影響
(m)表面処理
①酸化皮膜除去
②表面処理後の放置時間の影響
(n)溶接部に発生するブローホールおよび割れとその防止策
①ブロー・ホールおよび割れ
②防止策
(o)鋼材とアルミニウム合金の異材接合(新手法)
①自動車ボデイへのアルミニウム合金適用
②異種金属接合の課題
③異種金属抵抗スポット溶接部の引張強度に及ぼす溶接組織の影響
1)供試材
2)接合方法及び評価法
3)溶接条件とナゲット径の関係
3.1)溶接電流とナゲット径の相関性
3.2)通電時間とナゲット径の相関性
3.3)加圧力とナゲット径の相関性
4)ナゲット部のSEM観察結果
5)十字引張試験結果
6)十字引張試験での溶接部の破断形態
7)溶接電流と引張破断形態の関係
8)溶接電流増加に伴うHAZのミクロ割れの変化
9)異材抵抗スポット溶接部の引張破断メカニズム
9.1)低電流域の挙動
9.2)高電流域の挙動
10)まとめ
(p)溶接品質モニタリング
①電極変位による方法
②電極間電圧または電極間抵抗による方法
③超音波による方法
2.2.2 圧接
(1)拡散接合
(a)原理と特徴
(b)種類
(c)拡散接合の接合強度および特性
①接合強度
②断面ミクロ組織
③EPMA分析結果
(d)大気中における拡散接合
(e)拡散接合の適用例
(2)摩擦攪拌
(a)原理と特徴
(b)継手の特性(5000系および6000系アルミニウム合金)
①引張強度
②衝撃値
③変形量
④時効処理の効果
(c)継手特性(A2024およびAC4Cアルミニウム合金)
①断面マクロ
②引張強度
(d)インロー突合せ継手の特性(アルミニウム合金パイプと丸棒)
①硬さ分布
②クリアランスと破断荷重
③内部欠陥の影響
(e)継手特性(6000系アルミニウム合金押出し形材)
①断面マクロ
②引張強度
③硬さ分布
④熱サイクル
(f)接合可能条件
(g)接合欠陥
(h)異材接合
(i)FSW異材接手の断面マクロ
(j)薄板および厚板の接合
(k)FSWの自動車、鉄道車両、航空宇宙関係への適用
(3)アルミニウム合金/非アルミニウム合金異種材料の摩擦攪拌接合
(a) 突合せ継手
①アルミニウム合金/非鉄材料
②アルミニウム合金/鉄鋼材料
③アルミニウム合金/アルミニウム合金異種材料
1)熱処理型合金同士の接合
2)熱処理合金と非熱処理合金の接合
3)その他の材料の接合
(b)重ね継手
①アルミニウムと鋼板の接合
②アルミニウムと銅板の接合
(c)FSWの自動車、鉄道車両、航空宇宙関係への適用
(4)摩擦攪拌点接合(新しい技術)
(a)原理と特徴
(b)継手の強度特性
①引張せん断強度
②引張せん断試験後の外観と断面マクロ
(c)アルミニウム合金と鋼板の異種金属FSSW接合
①原理と特徴
②引張せん断強度
③断面ミクロ
④EPMA分析結果
(d)鋼板同士のFSSW接合
(e)FSSWの自動車への適用例
(5)超音波接合
(a)金属の超音波接合
①超音波接合装置
②特徴
③超音波接合のメカニズム
④超音波接合実施例
1)超音波ワイヤボンデイング
2)電鉄用パワーモジュールの端子接合
3)ピンポイント接合
4)薄板接合
5)プラスチックの超音波溶着
(b)異種金属の超音波接合実施例
①アルミニウム合金/鉄鋼
1)中間材を挿入した場合
2)中間材を用いない場合
(d)セラミックス/金属
①接合可能領域
②超音波接合材の接合強度
③インサートの効果
④接合メカニズム
(6)ろう接
(a)特徴
(b)ろう付性
(c)アルミニウム合金と鉄鋼の異材継手へのレーザろう付の適用(新しい技術)
①断面マクロ
②断面ミクロ組織
③継手強度
④レーザろう付の適用例
(d)アルミニウム合金とセラミックスの異材継手へのろう付の適用
①せん断強度
略歴
1977年 大阪大学大学院工学研究科博士前期課程 修了
1977年 石川島播磨重工業㈱
2006年 産業技術総合研究所客員研究員
2007年 芝浦工業大学教授(システム工学部)
2009年 山梨大学教授(大学院医学工学総合研究部)
2016年 SONOYALAB創業
著書
初めての人も、技術者も理解できる環境調和型モノつくり手法とその実際(単著)、2020年12月、㈱シーエムシー・リサーチ
初めての人も、技術者も理解できる切断加工技術の基礎とその応用(単著)、2020年10月、㈱シーエムシー・リサーチ
初めての人も、技術者も理解できる超音波接合の基礎とアルミニウム合金・異種金属接合への応用(単著)、2020年7月、㈱シーエムシー・リサーチ
初めての人も、技術者も理解できる抵抗スポット溶接技術の基礎とアルミ合金・異材接合への応用(単著)、2020年6月、㈱シーエムシー・リサーチ など
