電磁・流体・機械構造の3つの視点から、騒音・振動の発生メカニズムを体系的に解説。FFT解析や固有振動数の基礎、実機トラブル事例を交えながら、原因究明と低減対策の考え方を学びます。設計・製造・品質・保守に直結する知識を習得し、現場で即役立つ実践力を強化できる、モータ技術者必見の基礎編です。
- 講師
Nodaモータテック事務所 代表 野田 伸一 先生
工学博士(モータ博士)
- 日時
- 2025/12/12(金) 10:00〜16:30
- 会場
- 受講料
(消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
※WEB受講の場合、別途テキストの送付先1件につき、配送料1,210円(内税)を頂戴します。
- テキスト
- 製本資料(受講料に含む)
受講概要
- 受講形式
会場・WEB
- 受講対象
・モータ・インバータに関心のある技術者全般
・設計・制御・製造・品質・検査・営業・保守などの実務担当者
・モータユーザー(選定・運用・メンテナンス)
・機械・電気工学の基礎知識を持つ方ならどなたでも受講可能
- 予備知識
本講座は、モータの騒音・振動に関心のある技術者の方であれば、どなたでもご参加いただけます。
専門分野を問わず、以下のような基礎的な知識があると、より理解が深まります。
・一般的な機械工学・電気工学の基礎知識(構造、電磁、制御など)
・モータの基本構造や動作原理(PMモータ、インバータ駆動など)
・騒音・振動に関する基本的な評価指標(音圧、周波数、加速度など)
・測定機器や波形解析(FFTなど)に関する初歩的な理解
- 習得知識
1)騒音・振動の基本原理と評価方法の理解
2)モータ構造・電磁・流体・機械的要因による騒音の分類
3)スペクトル解析や固有振動数の基礎的な測定・診断技術
4)実機トラブル事例から学ぶ原因特定と改善の考え方
5)騒音・振動対策に向けた設計・制御・運用の連携視点 など
- 講師の言葉
モータは、洗濯機やエアコンなどの家電製品から産業機械、さらにはxEV(電気自動車)に至るまで、あらゆる分野で不可欠な駆動源です。近年では、小型・軽量・高速化と高効率の両立が進む一方で、振動・騒音の顕在化が新たな設計課題として浮上しています。
本講座では、モータが引き起こす振動・騒音現象の本質を、電磁・流体・機械構造の3つの物理領域に分けて体系的に解説します。それぞれのメカニズムについて、以下の技術的視点から掘り下げます:
・電磁騒音:高周波電磁力による振動発生機構と磁気飽和の影響
・通風騒音:冷却風路における空力騒音の要因と流速分布の知見
・機械振動:ロータアンバランスによる共振・伝播メカニズムさらに、洗濯機用PMモータやE-Axle駆動系など、実際の製品における騒音トラブル事例を紹介しながら、発生原因の特定方法や設計・制御・製造の連携による改善手法を解説します。現場で起きている課題を技術的に読み解くことで、設計判断や対策のヒントにつながる内容を提供します。
本講座は、騒音・振動に強いシステム設計を目指す設計者・技術者のための、理論と実務をつなぐ基礎講座です。
- 受講者の声

非常に有効な内容と感じました。今後、自主学習で学んでいきたいと考えます。

業務に直接役立つような実践的な内容で、非常に勉強になった。

講師の経験に基づく実務的な内容は参考になりました。

実体験を交えた講義で非常に参考になりました。基本情報から詳しく学べてよかったです。

品質問題に関して広く要因を知れたため良かったです。
プログラム
第1章 騒音・振動の基礎理解
1.1 騒音・振動とは何か:
定義と評価指標
1.2 音圧・加速度・
周波数の関係性
1.3 スペクトル解析とFFTの基本
1.4 共振現象の
理解と設計への影響
1.5 固有振動数と
振動モードの基礎
1.6 モータの小型・軽量化と
騒音の関係
第2章 モータ構造と 振動特性の基礎
2.1 ステータ鉄心の
振動特性と共振傾向
2.2 ロータ構造と
アンバランスの影響
2.3 モータタイプ別の振動傾向
(PM・IM・BLDC)
2.4 集中巻・分布巻による
振動特性の違い
2.5 固有振動数の
算出方法と簡易評価
2.6 FEM解析の概要と
基礎的なモデル化
第3章 電磁騒音の発生メカニズム
3.1 電磁力による
振動発生の原理
3.2 電磁騒音の
主な周波数成分
3.3 電磁力モードと
構造モードの相互作用
3.4 磁石のばらつき
による騒音事例
3.5 制御音(PWM・スイッチング)による影響
3.6 電磁飽和と高周波振動の関係
第4章 通風・ファン騒音の 基礎理解
4.1 ファン騒音の分類と
評価指標(音圧・周波数)
4.2 共鳴周波数と構造共振の関係
4.3 冷却風路における
空力騒音の発生要因
4.4 通風量・静圧特性
と騒音の関係
4.5 実測による
ファン騒音の検証方法
4.6 騒音スペクトルの
読み方と傾向分析
第5章 機械的要因による 振動・騒音
5.1 軸受音の種類と発生周波数
5.2 ロータアンバランス
による振動伝播
5.3 騒音事例:
ロータ偏心による異音
5.4 バランス修正法
(二面修正)の概要
5.5 締結部・ハウジングの
影響と設計注意点
5.6 機械構造と
振動伝達経路の理解
第6章 トラブル事例紹介と 基礎的対策の方向性
6.1 洗濯機用PMモータにおける
共振回避と騒音低減事例
6.2 E-Axle
(インバータ+モータ+ギア)
駆動系の騒音解析と対策事例
6.3 騒音トラブルの
初期診断ポイント
6.4 測定機器の選定と設置の基本
6.5 騒音・振動のばらつき
評価とSN比の考え方
6.6 モータ仕様書と
実機騒音のギャップ分析
略歴
1977年4月~2013年9月:(株)東芝・電力社会システム技術センターに属し、回転機を研究・開発・電機応用システム開発部 回転機研究・部長
2013年10月~2023年7月 :ニデック(株)モータ中央基礎研究所 研究部 部門長
著作
(1) 1999年,電気設備に対する騒音対策,(株)フジ・テクノシステム出版,音の環境と制御技術 第Ⅱ巻 応用技術,166-177.
(2) 2006年,誘導電動機の電磁振動と騒音の会席技術,電気学会技術報告,誘導機電磁騒音解析技術調査専門委員会,第1048号.
(3) 2010年、電磁振動&騒音設計,第7章 モータ固定子鉄心に作用する電磁力による振動現象、(株)三松株式会社出版所,91-121.
(4) 2011年、「モータの騒音・振動とその低減対策」、発行所 (株)エヌ・ティー・エス
(5) 2011年、静穏化&快適化、設計技術ハンドブック,産業機械、(株)三松株式会社,丸善出版、122-152.
(6) 2014年、「モータの騒音・振動と対策設計法」 科学情報出版(株)
(7) 2025年、「Q&Aによるモータ騒音・振動の基礎と対策全書」、発行所 (株)エヌ・ティー・エス
受賞歴
・1993年5月 ( 社 ) 電 気 学 会 論 文 賞 回 転 機 部 門
・2000年8月 ( 社 ) 日 本 機 械 学 会 オーディエンス賞
・2006年4月 ( 社 ) 日 本 電 気 協 会 関 東 電 気 協 会 最 優 秀 賞
・2006年11月 (財) 電 気 科 学 技 術 奨 励 会 電 気 科 学 技 術 奨 励 賞
・2008年4月 (社)日 本 電 機 工 業 会 電 機 工 業 技 術 功 績 者 表 彰 優 秀 賞
・2012年 5月( 財 ) 国 際 会 議 E L V C O N2 0 1 2 論 文 優 秀 賞
学会委員歴
・2006年 4 月:・機 械 学 会 運 営 委 員 ( 2 年 間 )
・2006年:電 気 学 会 ・ 電 磁 騒 音 委 員 会 会 員 ( 3 年 間 )
・2011年 9 月:国際音響学会 Internoise2011 の幹事委員・座長
・2013年 ~ 現在:モータ技術シンポジウム委員
